冬の企画展 「完成 本居学 ―寛政年間の宣長―」
会 期: 2006年12月12日(火)~2007年3月25日(日)
休 館 日: 月曜日(祝日の場合は翌日)
年末年始
開館時間: 午前9時~午後4時30分
入 館 料 : (記念館・旧宅「鈴屋」共通)
大人300円・子供(小学校4年~高校生)100円
団体料金(30名以上)大人200円、高校生80円、小・中学生50円 。
◇ 展示の趣旨
寛政元年(1789)、60歳になった宣長は、いよいよ自分の学問の完成を目指します。
自画像を描き、『古事記伝』執筆も最終段階へと入り、『古今集遠鏡』、『玉勝間』、『うひ山ぶみ』など代表的な著作も次々に執筆、刊行されます。それまでの机に向かう生活から、「行動する宣長」への転身です。名古屋への学問普及の旅、紀州徳川家への仕官と藩主への御前講義、京都での公卿への講釈では、いずれも大きな成果が得られました。
一方、諸国からの来訪者も増加します。家の中も、長男春庭の失明と養子大平の入家、三人の娘の結婚と重大事件が続きます。このような多忙な中で、静かに自分の生涯の幕引きの準備も進んでいきます。そんな密度の濃い寛政年間(1789~1801)の宣長の足跡を追います。特に、寛政年間に執筆、刊行された 全著作23種83冊の一挙公開 は初の試みです。13年間4640日 の持つ重みを実感していただけると思います。
◆ 展示点数 全80種(重文35種)
◆ 主な展示品
「本居宣長六十一歳自画自賛像」(国重文)
紀州藩主から拝領した「板文庫」
自分のお墓の下見に行った「山室山行詠草」(国重文)
奈良の大なべ、小なべ古墳をめぐった「寛政十二年紀州行日記」(国重文)
京都での講演の成果「富小路貞直卿餞別長歌」
最晩年に全精力を傾注して執筆した『続紀歴朝詔詞解』草稿・再稿本(国重文)は、真淵先生との約束を果たさんとする、また国学者としての信念に基づく気迫に満ちた筆跡です。
「帆足京短冊」熊本からやってきて『古事記伝』を筆写した15歳のお嬢さん帆足京(ホアシ・ミサト)さんの水茎の跡。
◇ 寛 政 年 間 の 宣 長
《データで見る 宣長の寛政年間》
寛政13年は2月5日から享和元年となりますが今回は9月29日迄を寛政としました。
60歳~72歳 |
◇ 宣長に残された時間 寛政改元:天明9年(1789)1月25日。 ※享和元年9月29日(宣長死去)まで4640日。 ◇ 紀州藩主10代徳川治宝などへの御前講義9回 ◇ 刊行書籍合計83冊(除・枕の山-亡くなった直後の刊行) ◇ 入門者341人 ◇ 旅(二泊以上)16回 (伊勢3回・京都4回・名古屋4回・和歌山3回・桑名1回 ・四日市1回) |
〔講筵旅行・刊行著作・入門者数の内訳〕 |
寛政元年(1789)60歳 |
『真暦考』1冊・『玉くしげ(別巻)』1冊 2冊 ☆ この年の入門者 37名 |
寛政2年(1790)61歳 |
『神代正語』3冊・『古事記伝』初帙(巻1~5)8冊 ☆ この年の入門者 20名 |
寛政3年(1791) 62歳 |
『仰瞻鹵簿長歌』1帖 1冊 ☆ この年の入門者 13名 |
寛政4年(1792) 63歳 |
『古事記伝』第2帙(巻6~11)・『玉あられ』1冊 『詞の玉緒(補刻校)』7冊・『新古今集美濃の家づと』5冊 19冊 ☆ この年の入門者 37名 |
寛政5年(1793)64歳 |
☆ この年の入門者 43名 |
寛政6年(1794)65歳 |
☆ 和歌山・京都行き。和歌山城奥座敷で御前講釈3回(11/3・5・6)。 講書『中臣祓』・『詠歌大概』。 吹上御殿で清信院に講釈2回(閏11/12・16)。 講書『源氏物語』「若紫」・『古今集』誹諧部、真名序、仮名序。 ☆ この年の入門者 38名 |
寛政7年(1795)66歳 |
『手枕』1冊・『玉勝間』第1篇(巻1~3)・『菅笠日記』2冊 6冊 ☆ この年の入門者 21名 |
寛政8年(1796)67歳 |
『大祓詞後釈』2冊・『馭戎慨言』4冊・『出雲国造神寿後釈』1冊 7冊 ☆ この年の入門者 24名 |
寛政9年(1797)68歳 |
『天祖都城弁弁』1冊・『美濃の家づと折添』3冊 『古事記伝』第3帙(巻12~17)・『古今集遠鏡』6冊 『玉勝間』第2篇(巻4~6)19冊 ☆ この年の入門者 17名 |
寛政10年(1798)69歳 |
『鈴屋集』巻1~3 3冊 ☆ この年の入門者 21名 |
寛政11年(1799)70歳 |
『うひ山ぶみ』1冊・『源氏物語玉の小櫛』9冊・『鈴屋集』巻4、5 『玉勝間』第3篇(巻7~9) 15冊 ☆ 和歌山行き。初のお目見(2/3)。 大奥御対面所で御前講釈1回(2/17)。 講書『源氏物語』「紅葉賀」。〈展示資料参照〉 吹上御殿で清信院に講釈2回(閏11/12・16)。 講書『源氏物語』「初音」・『古今集』大御所歌、神楽歌、真名序。 ☆ この年の入門者 23名 |
寛政12年(1800)71歳 |
『地名字音転用例』1冊・『神代紀髻華山蔭』1冊 2冊 ☆ 和歌山行き。 御広敷で御前講釈5回(11/29・12/4・8・14・13年1/14)。 講書『源氏物語』「帚木」。『古語拾遺』。 お流れ頂戴1回(13年1/3)。 ☆ この年の入門者 24名 |
寛政13年(1801)72歳 |
『伊勢二宮さき竹の弁』1冊・『枕の山』1冊(?) 1冊 ☆ この年の入門者 23名 合計 御前講義 9回 刊行書籍合計 83冊(除・枕の山)入門者 341人 |
◇ 子どもの結婚 4回(飛騨※再婚・四日市高尾家に嫁ぐ 美濃※長井家に嫁ぐ 能登※山田安田家に嫁ぐ 春庭※妻村田壱岐を迎える) ◇ 養子を迎える 1回(稲懸大平) ◇ 子どもの離婚 1回(飛騨草深家を離縁) ◇ 最高所得 寛政3年(62歳)156両 ※1両を10万円で換算すると1,560万円。 ◇ 頂き物 多数 駅鈴・板文庫・多賀城瓦・コンペイトウ・カステイラなど。 |