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令和2年度 冬の企画展

『古事記』を読めば、古代の日本が見える!

69 歳で大著『古事記伝』を書き上げた宣長は、そう言いました。古代の声を伝える書物として『古事記』研究に力を注いだ宣長の目に、古代の、そして江戸当時の日本はどのように見えたのでしょうか。
宣長の知的好奇心は、学びのおもしろさに目覚めた十代の頃から衰えることを知りません。日本という国について、諸国の地理や地誌への関心、和歌に詠まれる歌枕・名勝地の検証など、さまざまな角度から「日本」という国を探究した、古典研究者本居宣長のまなざしを紹介します。

    期  間   令和2年12 月8 日(火)~ 同3年3 月7 日(日)
    展示総数   69 種87 点 ※うち国重要文化財 36 種
                     (変更の場合があります)
    展示説明会  12 月19 日、令和3年1 月16 日、2 月20 日
           いずれも土曜日 午前11:00~

【休 館 日】    月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12/28~1/4)
【開館時間】    9:00~16:30
【入 館 料】    本居宣長記念館・本居宣長旧宅「鈴屋」共通
                     大人 400 円 大学生等 300 円 小人(小学校4 年生~高校生) 200 円
【住  所】    松阪市殿町1536-7
【T E L】    (0598)21-0312

★ 期間中、入館していただいた方のうちご希望の方に
 本展にて展示する「大日本天下四海画図」の縮小版(A3 サイズ)
を配布いたします。
 先着順となりますので、お早めにお越しください!



展示資料紹介
◎……国重要文化財
 木綿商の家に生まれた宣長。16 歳のとき商売修行のため江戸へ出ますが、うまくいかず、1年と経たないうちに再び松阪に戻ってくることとなります。悲しい出来事や困難な状況に遭遇すると筆を止めてしまう宣長らしく、この時期の江戸での生活についてはほとんど記録が残っていませんが、決して楽しいといえるものではなかったことでしょう。失意の中帰郷したように思われた宣長は、松阪に帰り着くとすぐに、一枚の地図を書き始めました。

 「今出回っている地図は間違いが多い。だから正しく書き直すのだ」と自信たっぷりです。

↑宣長が描いた ◎「大日本天下四海画図」
 「大日本天下四海画図」と名付けられた地図に描かれているのは日本。はじめて大都会江戸を目にしたことや、東海道を歩くという経験が、ひとつのきっかけになったことは間違いありませんが、このころから宣長は、自分も暮らす「日本」という国全体に、その視線を向けていたのです。そして生涯にわたってこの関心を持ち続けたことで、大著『古事記伝』を完成させることができました。



(◎「日記」)↑
● 日々の生活

 宣長が『古事記』中巻部分の注釈に差し掛かった50代頃、時代はちょうど天明年間(1781~89)にあたります。飢饉、火山の噴火、政変、大火…と世の中は大いに混乱しますが、宣長にとっても大きな変化があった時期でした。
「日記」天明元年(1781、宣長52 歳)には、医者としての仕事が忙しく、その分医療収入は過去最高額を記録します。翌年には、自宅の二階に書斎「鈴屋」が完成し、いっそう学問に打ち込めるようになりました。また、『古事記伝』の執筆も進み、刊行に向けた動きも本格化していきます。

天明二年七月には、浅間山の火山が噴火。宣長はそのときのことを日記に記録しています。

●古代を知る鍵としての古典

『古事記』を読めば日本がわかる、と考えた宣長ですが、そのためには『古事記』だけを研究していればいいというわけにはいきません。『古事記』の内容を検証するため、また『古事記』には書かれていない日本の姿を知るために、『日本書紀』などの歴史書、また古代の地誌『風土記』や、『万葉集』も活用します。さて、そんなとき一番問題になってくるのが、その舞台となった土地についての考証です。古代の地名は、後世のものと簡単には対応させられない場合も多く、古典研究家たちの間で議論がありましたが、宣長は友人や門人と地図の貸し借りをしたり、ときには自分で地図をおこしたりして研究に活かしています。今回の展示では、『出雲国風土記』の内容から宣長が作成した「出雲国風土記群郷図」、古典世界の地図「小戸橘檍原三瀬図(おどあわきはらみせのず)」、『万葉集』、『古事記』に登場する「大嶋」にまつわる地図なども展示。古典と地理についてご紹介します。


← ◎「出雲国郡郷図」宣長筆
「国よ来い国よ来い」と周囲の島を引っ張ってきて大きな国をつくったといわれる「国引き神話」の残る出雲国。
宣長は自作の地図を使いながら「風土記」を読みました。


← ◎「周防大嶋図(すおうおおしまず)」
本居春庭写、宣長書入れ
イザナギ・イザナミの国生みの際に誕生した島のひとつ?
『万葉集』にも登場します。

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