六月の宣長

◇ みなづき

 水無月6月は暑さも本番。ミは水。ナは連体助詞。田に水を湛える月の意か(『岩波古語辞典』)。水無月の祓えの季節である。京都では祇園祭。神輿洗いの時から連日のように見物にいく。

◇ 時候の言葉(寛政10年書簡)
「先日頃よりあつさ強く、扨々例年通りこまり申候」(寛政7年6月3日・本居春庭宛)
「甚暑御座候へ共」(6月14日・高尾吉宛)※尚々書に「暑中随分御自愛」とある。
「時分から殊外之あつさニ御座候」(6月14日・高尾飛騨宛)
「酷暑之節」(6月17日・荒木田久老宛) 「先以酷暑之節」(6月20日・植松有信宛)


◇ 3つの大きな出来事
  1. 宝暦13年(34歳)6月7日、『紫文要領』上下2巻の稿成る。
  2. 明和3年(37歳)6月30日、第1回『源氏物語』講釈終わる。開始より8年目。
  3. 寛政10年(69歳)6月13日、『古事記伝』第44巻の最終丁の清書終わる。全巻終業。

◇ 6月の歌
 
    廬橘驚夢
しばし見る 夢路なやます 袖の香も 
          同じむかしの 軒の橘
                  
    杜五月雨
かた岡の 杜のこずゑの ひまなきに 
          雫もしげき 五月雨のころ
                     (天明4年・55歳)

【もっと知りたい】

◇ 菅相寺の西瓜 ◇ 京都の6月 ◇ 『源氏物語』の講釈
◇ 6月の写本 ◇ 『紫文要領』 ◇ 古体の歌
◇ 『古事記伝』の執筆終わる ◇ 『日記』に見る松坂祇園祭


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