天理図書館所蔵の『鈴屋集』(西荘文庫旧蔵)は、一部に別筆も混じるが、宣長自筆の編年体歌集で、『本居宣長全集』では『石上稿』の底本として採用している。
その明和8年辛卯詠の本文第11丁目に挟み込みがある。雲母引き美濃紙2枚継で「第廿九、得弁才智願、説我得仏国中菩薩若受読経法諷誦持説而不得弁才智慧者不取正覚」 と書かれている。
これは本文詞書に、「嶺松院住持(空白)追善に弥陀四十八願の心を人々よみける中に得弁才智願を、文曰、説我得仏国中菩薩若受読経法諷誦持説而不得弁才智慧者不取正覚」あるのに対応している。恐らく席上引いた札を記録のために持ち帰ったものと思われる。本書が自筆稿本であることの傍証にもなろう。
(C) 本居宣長記念館
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