midashi_b プレゼントは隠岐の駅鈴

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 寛政7年(1795)8月13日、石見浜田(今の島根県浜田市)藩主松平康定侯は参宮の途中松坂に泊り、本陣美濃屋に宣長を招き『源氏物語』の講釈を聞いた。

 主君の来訪に先立って家臣小篠敏は、主君の命で「駅鈴」と

「かみつ世をかけつゝしぬ ぶ鈴の屋のいすずの数にいらまくほしも
                           康定」

と書いた色紙を持参した。宣長が鈴が好きなことを聞いた康定からの心尽くしのプレゼントである。

 同年5月3日付栗田土満宛大平書簡には、

 「石州小篠大記翁も此度主君周防守内々御用ニて本居先生源氏物語之説とも委細精学仕可参由被仰付八九日迄逗留之積リニ御座候。本居へも珍敷古鈴御贈り被成候而御詠も御添被成候事ニ御座候/と御名あり目出度事ニ奉存候。大記翁も年齢相応より壮健ニて日々出精有之候」 (「小篠敏伝攷」『中村幸彦著述集』第12巻)とある。

「古鈴」は「駅鈴」のことである。「八九日」は八九月の誤りであろう。

「駅鈴」

「駅鈴」


>>「4 浜田の殿様、宣長と会う」
>>「松平康定の鈴の歌」



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