本居宣長著。『おもひ草』とも。尾花が本、思い草はともに「たばこ」の異称。
「思ひ草は秋の野の尾花がもとにおふるとかや、または、こ(煙草)のけふりも、其名にたぐふ心地して、室の屋しまもとをからず、とことはにこがれつゝ、人の口のはにのみぞかゝる、さるはいひけたれてもなをふかくおもひいれ(火入)て、もゆるけしきは、いぶき(灰吹き)の山のさしも草にもことならず、かくのみたえずなげきせる(キセル)、はてはいぶせくきたなげになりてすてらるゝよ」
と、たばこにまつわることばを織り込んだ雅文。
本居宣長記念館には2冊の『尾花が本』がある。
その内の1冊は自筆本と言われている。表紙左肩に題簽がある。朱の紙に書かれ一部欠失しているが、「尾花か本」と読める。墨付13丁、遊紙(巻首)1丁。奥書「癸酉仲秋/神風伊勢意須比飯高本居健蔵草」。朱で振り仮名、注など書き入れる。巻末1行、並びに奥書部分切り接ぎあり。岩田隆氏寄贈。また、もう1つの本は、本居家伝来、堀内千稲旧蔵本。
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「キセル」
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「たばこ盆」
(C) 本居宣長記念館
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