本居宣長著。
出雲(今の島根県の一部)は、スサノウ、オオクニヌシで知られる古代出雲神話の舞台として、『古事記』でも重要な場所だ。そこに出雲大社という大きな神社がある。そこに古くから伝わった「出雲国造神賀詞」(イズモノクニノミヤツコカムヨゴト)という文章がある。古代の出雲を知る上でも、また昔の言葉を知るためにも重要だ。そこで宣長は研究し、注釈した。
ところで、「注釈」(チュウシャク)ってなんだ。
これは、文章や言葉をわかりやすくすることで、ある人の説では、固い土に水を注ぎ柔らかくするからサンズイが付くのだそうだ。宣長先生はこの「注釈」というスタイルを重視した。有名な『古事記伝』も『古事記』の注釈だ。
また、書名に「後」が付くのは、既に賀茂真淵(カモノマブチ)先生が『祝詞考』(ノリトコウ)という本でこの注釈も書いているので、その後に宣長が自分の意見を付け加えたという意味。まず「考云」として先生の説を掲げ、その後に「後釈」として自説を述べるという形式を採る。これも宣長の得意な形式で、真淵先生は偉い。だから先生が言ったことはみんなが鵜呑みする。だからあえて直すのだ。「師の説になづまざること」は宣長の大事な教えだ。
でも他の真淵先生の門人(弟子)からは、先生の説の悪いところをあげつらうとは何事だ、という批判もあった。
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「賀茂真淵」
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「千家俊信」
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「祝詞・宣命の研究の目的」
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『大祓詞後釈』
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「師の説になづまざること」
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「『出雲国造神寿後釈』をもっと詳しく」
(C) 本居宣長記念館
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