宣長が1年を過ごした大伝馬町という場所は、江戸の中心街である。近くには鶴屋喜右衛門という有名な本屋もあった。
子を思ふ夜の鶴やへ草そうし(『柳樽』)
この店は仙鶴堂とか丹頂堂という屋号で、暦や往来物(今の教科書)と言う堅いものから、やがては錦絵、草双紙まで手広く商うことになる。この川柳は、夜も営業する鶴屋へ子どもの欲しがる草双紙を買いに行く情景であろうか。宣長当時の店頭ではどんな本が並んでいたのだろう。
今の日本航空のような鶴のマークを暖簾に染めた店先の様子は『江戸名所図会』にも載る。
若き宣長もこの店先を通ったはずなのだが・・
>>「江戸店」
(C) 本居宣長記念館
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