松阪でも飛び交う蛍を楽しめる季節となりました。
でも、飛ぶのは蛍だけではありません。
6月は、『源氏物語』論である『紫文要領』や、『古事記伝』が完成した月です。
坂内川河畔の蛍は執筆に疲れた宣長の目を慰めたことでしょう。
書斎を飛ぶ蚊も、机に向かう宣長の妨げとは成り得なかったことでしょう。
本を書き、読むときの宣長の集中力は抜群だったからです。
◇みなづき
旧暦の水無月6月は今の7月。梅雨から夏の暑さへと移る季節です。梅雨の終わりの大雨は今も昔も変わりません。
安永2年(1773・宣長44歳)6月19日には、松坂周辺は大雨で、「未曾有の大水」だったと宣長の日記や、また『宝暦咄し』に記されています。
雨が多いのにどうして水無月?
これは、ミは水。ナは連体助詞。田に水を湛える月の意ではないかと言われています(『岩波古語辞典』)。
神社では、水無月の祓えが行われます。京都では祇園祭。京都遊学中の宣長は、神輿洗いの時から連日のように見物にいっています。

◇松阪の祇園祭と鈴おどり
祇園祭は松阪でも行われました。しばらく中断していたお神輿も、宣長の頃に再興されました。
現在も、松阪では八雲神社、御厨神社、松阪神社からお神輿が出て祇園祭がにぎやかに行われます。
ちなみに、2010年の松阪の祇園祭は、7月17日が宵宮、18日が本日です。
また、18日には日野町交差点付近で「松阪鈴おどり」も行われます。1300人の踊り手が、軽快なリズムに乗って、宣長がこよなく愛した鈴をつけて踊ります。

>> 「毎月の宣長さん」5月
>>
「毎月の宣長さん」6月
|