◇  「本居宣長」を刊行しました #023

創元社「日本人のこころの言葉」シリーズとして「本居宣長」を刊行しました。
宣長(1730-1801)の言葉 47を選び、現代語訳と解説を付けます。
本書を読めば宣長の生活も、考えていたことも、また何をやってもうまくいった秘密も少し分かっていただけるはずです。
巻末には伝記と略年表が付きます。

「本居宣長」吉田悦之著

最大の特色は、読みやすいこと。
宣長の47の言葉に、1ページから3ページの解説をつけていますから、
どこから読んでもかまわないし、一項目は数分で読めます。
これは著者の手柄ではなく、宣長のお蔭です。
宣長の言っていることは、ごく普通のことで、体験、経験に裏付けられていて、表現もシンプルだからです。

たとえば、
医者宣長が教える病気にならない方は、食べ過ぎるな、体を動かせ、くよくよするな。
『古事記伝』の著者として教える勉強の方法は、目標を立てて継続すること。勉強法は問題ではない。
世の中を改革する提言を求められると、世の中の間違いに気付いても無理に改めようとするな。500年、1000年というスパンで考えよ。

これだけ聞いているだけだと、当たり前すぎて、有難味がないと思われるかもしれませんが、 その当たり前のことを、古典や歴史への深い理解で見つめ直し、実行したのが宣長なのです。
一つひとつは当たり前でも全部揃うと、ものすごい力となるのです。

執筆のきっかけは、松阪市観光戦略会議(市主催)での、委員からの宣長本を作ろうという提案です。

本を読んだ人が、
「松阪」ってすごいと感心して、今度の休みは松阪に行こうと思ってもらえる本が作れないかというのです。
ターゲットはビジネスマンです。
コンセプトは、わかりやすく、短時間でも読めること。
松阪は、三井を始めとする松坂商人を輩出し、松阪木綿、松阪肉というブランドを守る「商業」の町です。

また私がいつも口にするのが、
「宣長は学問の流通革命をした人だ」

宣長の手法は、学問だけでなく、ビジネスの世界でもずいぶん役に立つという確信があったのです。
 
まず生まれたのが、
『宣長の目、松阪の魅力−本居宣長の25−』でした。
これは、松阪経営文化セミナーなどでテキストとして使用されました。
珍しい写真も多く、無料だったこともあり、数千部がまたたく間に消えてしまいました。
でも、セミナー参加者以外にも読者層を広げられないか? とか、
こんどは宣長の世界に特化して、詳しく、しかもわかりやすく、価格も安く、どこでも買える本は出来ないものかと思案して、 出版社からの持ち込み企画を検討した結果、
創元社のプランとほぼ一致!
実現に至ったのです。

47の言葉は、
    I  生きる信念
   II 「物のあわれを知る」
   III 「心」と「事」と「言葉」
   IV 「物学び」の力
に分類されます。
ぜひご一読ください。
全国の書店で発売中です。

 定価(税込) 1,296円
 刊行年月日 2015/05/08
 ISBN 978-4-422-80068-4
 判型 新書判 182mm × 103mm
 造本 上製 208頁



2015.5.9 

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