連休初日の4月27日、夕方、国士舘大学に学ぶ
インドネシアのイルマ・サウィンドラ・ヤンティさんが来館された。
いくつかの論文を頂いたが、
中でも目を引いたのが、
「日本のポップカルチャー精神の源流を訪ねて」
『A.P.O.C.S』bU(ポップカルチャー学会)
である。
宣長の「端原氏城下絵図」とその系図や、
米粒大の文字で記された京都文献集『都考抜書』を見て、
マニアックだとかオタクを連想することはあっても、
ポップカルチャーまでは浮かばなかった。
今や世界に誇る日本文化の一つポップカルチャーと、その源流に、
宣長の「物のあはれを知る」説を位置づけるのである。
「現代日本においてマンガやアニメなどのポップカルチャーの愛好者が「オタク」という少なくとも雄々しいとは言えない呼び名をもつことは決して偶 然ではないだろう。それは、どちらかいうと暗い印象を与える言葉であるが、しかしそこにあるのは、宣長にしたがえばむしろ「女々しく」あることによって自 由で窮屈のない表現の世界である。そしてそれゆえに、現代日本のポップカルチャーは、日本固有の文化的感性を越えて、いまや世界的に若者たちの共感を集め ているのではないだろうか」
確かに「女々しい」のもつマイナスイメージが、宣長によって逆転したことは事実だ。
オタクもまた高い志を持ち、全体を見渡すことが出来るようになると、
大変なパワーを発揮する。
イルマさんの論文には次のものがある
○「本居宣長の「物のあはれ」の形成−相良亨説・田原嗣郎説をめぐって−」
『比較文学・文化論集』第29号 東京大学比較文学・文化研究会
○「本居宣長における「国学」思想の誕生−「物のあはれ」論を軸に−」
『(国士舘大学)政経論集』第14号 国士舘大学政経学会
○「徳川藩幕体制と国学思想−本居宣長の儒教批判を中心として−」
『(国士舘大学)政経論集』第16号 国士舘大学政経学会
アジア圏での宣長研究者は、韓国以外では、存じ上げない。
ご活躍を祈念しています。
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