◇ 内池永年旧蔵『神代紀髻華山蔭』 #004

 本居大平の「みちのく社中」の中心的な存在だった内池永年については、『内池永年集−みちのく社中・』(福島市史資料叢書第50輯・58輯)に詳しいし、そこには、書簡や詠草、紀行も収められている。「諸国風俗問状」の回答として、大平の委嘱により、石金音主と『陸奥国信夫群伊達郡風俗記』をまとめたことは後世に残る業績だが、永年旧蔵の版本『神代紀髻華山蔭』(じんだいきうずのやまかげ)が確認された。

  表紙の裏には「文化拾五年寅四月於京都求之、内池與十郎永年」と墨書され、巻首には「内池家蔵」の印が捺される。刊記「鈴之屋蔵板、寛政十二年庚申之春発行、製本弘所、書林、勢州松阪日野町柏屋兵助、京都寺町通四条上ル町銭屋利兵衛、同三条通御幸町西江入町河南儀兵衛」。表紙右上に「七」と墨書。題箋に「全」と朱書。
 購求日は書かれていないが、永年が音主と西遊した日記『道のしをり』には、「廿二日晴、本(居)家靱負御兄弟へ御暇乞ニ参リ、紀州先生様へ礼状差上候、城戸市右衛門主へ立寄、書物約束致、料紙遣し長歌頼置候・・」とある。この時の買い物だろうか。
『内池家蔵書目録』には「神代紀髻華山蔭【四匁五分】、壱巻」とある。


>> 『神代紀髻華山蔭』(ジンダイキ・ウズノヤマカゲ)


2011.2.22

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