田中道麿研究の基本資料『田中道全集』の翻刻が刊行されました。
同集は、編年体の歌集で宝暦7年(道麿34歳)から天明4年(61歳)まで、
約1200首の歌が載せられています。
道麿の第一級伝記資料として評価は定まっていますが、
原本所在が確認できないため、『文莫』26号掲載の複写からの翻刻です。
翻刻は、田中道麿翁顕彰会副会長・山口一易氏の労作です。
今度刊行された本は、山口氏の手書された翻刻を印刷しています。
従って難読箇所はその筆跡を写すことで問題を解決されています。
同集の影印を見た者からは、最善の措置だと思われます。
歌は、言葉遊びやまた故郷を詠んだものなど、
「万葉の鬼」など言われた学究の徒・道麿の別の顔を見せてくれます。
一つ例を挙げましょう。
「獣名」・「貝名」などの題の歌があります。
たとえば「虫名」は、
あふみの海 しかにありてふ 小松谷 風の響きは きくもすゞしき
この一首の中に、
あぶ、蚤、蚊、蟻、蝶(てふ)、マツ、ダニ、ノ(?)、ひき(蟇蛙)、蜘蛛、鈴(虫) が入っています。「ノ」には道麿の手で漢字が当てられていますが、
今の漢和辞典では検索できません。
『新撰字鏡』や『類聚名義抄』など古辞書を探す必要がありそうです。
こんなクイズみたいな歌も多く、実に楽しめます。
詳しくは、
養老町教育委員会までお問い合わせ下さい。
連絡先 養老町教育委員会生涯学習課(中島様)
0584-32-1100(代)
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