『鈴屋学会報』第20号刊行

 『鈴屋学会報』第20号(全124ページ)が刊行されました。
 内容は 以下の通りです。

「宣長の仕官をめぐって」
岡本勝
「大矢重門の歌集について」
杉戸清彬
「平田篤胤の『出定笑語』の諸本」
中川和明
「萱野観尊と出版事業」
管宗次
「堀家学統と『不尽言』」
膽吹覚
「田中道麿全歌集のプランと道麿和歌拾葉集稿」
簗瀬一雄
「「曠懐堂堀氏譜系」と「堀氏譜図」−考証と翻刻−」
高橋俊和
書評「中根道幸著『宣長さん−伊勢人の仕事』」
森瑞枝

 岡本氏の論文は、宛先不明宣長書簡の紹介です。内容は加賀藩との仕官交渉に関わるもので、具体的な資料が何もなかっただけに貴重です。書簡の中心となるのは、出自や著作名を挙げた、一種の履歴書部分です。
 杉戸氏の論文は、宣長の高弟で、『新古今集美濃の家づと』の成立に深く関わった美濃国・大垣の大矢重門。歌人としても評価の高かった重門の歌集についての調査報告です。断片的にしか分からない重門の生涯を知る上でも貴重です。
 膽吹氏の研究、高橋氏の資料紹介は、宣長の師・堀景山の学統と家系に関わるものです。高橋氏の一連の景山研究や、また去年急逝された日野龍夫氏の『不尽言』注釈などで、景山研究はここ数年で急速に進みました。それにしても堀景山資料が宣長関係以外ではまったくと言ってよいほど出てこないのはどういうことなのでしょうか。不思議な話です。
 中根氏の『宣長さん』は、宣長の少青年期の雑記類を分析した画期的な著作です。これまでの研究の弱点が明らかにされました。森氏の書評は、この大著に正面から挑んだものです。ぜひ中根氏の著作とあわせお読み下さい。

2004.2.28