【内容】
『源氏物語』という巨大で複雑な物語には、いろいろな読み方があるのは当然であるが、今回は特にもっとも重要な登場人物である紫上をめぐって、どのように作者がこの人の人生を造型し、そしてそれによって、なにを表現したかったのかを、私なりに考えてみたい。あわせて、『謹訳源氏物語』の訳述についての諸問題等にもふれながら、幾つかの名場面の朗読などもお聞きいただきながら、お話したい。
【講師:林望先生】
昭和24年(1949)東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了。1984年から1987年まで、ケンブリッジ大学・オックスフォード大学双方で研究のため、ケンブリッジ大学客員教授としてイギリスに滞在。その後、東京藝術大学助教授となったが、より自由な創作活動をめざして同大学を退学。イギリス滞在中の体験から『イギリスはおいしい』(日本エッセイストクラブ賞受賞)など、エッセイ・小説、著書多数。また、日本文学を読みやすく解説したものも執筆し、近年、『謹訳 源氏物語』全10巻(祥伝社)を執筆。2013年に毎日出版文化賞特別賞を受賞した。
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