『本居宣長の世界 和歌・注釈・思想』が
刊行されました

 長島弘明編・森話社・本体価格3,400円。
 没後200年の頃から刊行が待たれていた論文集がようやく刊行されました。
 9編の論文が載っています。
 執筆者は、田中康二氏、杉田昌彦氏のような宣長研究の第一人者をはじめ、上田秋成や近世和歌などで業績のある研究者、古代文学研究の重鎮、鈴木日出男氏、神野志隆光氏という陣容です。

 編者の長島氏は宣長研究の現状を、
   「なお宣長学全体を見渡す地点には至っていない」
と見ます。
 そして、その第一の理由が、
  「複雑多様で一見矛盾に満ちた宣長の学問の性格と、
   膨大な著作とにある」
ことを指摘。
 一方、それに対する研究は、文献考証学的なミクロの観点からと世界観などのマクロの観点から進められているが、両者にはなお大きな落差があることを言い、さらに、何れの研究も、研究者が宣長学の専門家のために、宣長自身の論理の拘束から脱しにくいことこそが問題ではないかと言われます。
 そのような観点から、この論文集では、
宣長の文章に対する徹底的な解釈で、考証的、また思想史的な研究の間をつなぐことと、宣長の著作からの演繹と帰納に終始するという、
いわばト−トロジーからの脱却のために、宣長の方法論を相対化する視点で編纂したことが「あとがき」で述べられています。

収載論文は次の通りです。

鈴木日出男 「宣長の和歌論における「もののあはれ」と「あや」」
風間誠史 「本居宣長の「文学」 初期詠歌と『排蘆小船』を読む」
鈴木健一 「『古今集遠鏡』の注釈方法」
渡部泰明 「本居宣長の修辞意識 
  『美濃の家づと』に見る「縁」の思想」
田中康二 「和歌注釈の作法
  『草庵集玉箒』における「例の病也」と「歌の魂なし」
   をめぐって」
杉田昌彦 「宣長にとっての『源氏物語』」
藤原晴希 「〈もののあはれ〉の変容  
  『紫文要領』と『源氏物語玉の小櫛』」
長島弘明 「『呵刈葭』における宣長と秋成」
神野志隆光 「『古事記伝』と『古事記』」

 

2005.11.24