『飛鳥−歴史と風土を歩く−』

 古代史の舞台として多くの人を魅了し、今も重要な発見が相次ぐ飛鳥。本書は、最新の発掘情報と研究成果を駆使した案内書。著者は、明日香村の隣、高取町在住で、日本古代史の第一人者。
 「はじめに」で、「宣長の歩いた道」という小節を立て、
「本居宣長(一七三〇〜一八〇一)が歩いた飛鳥の道をたどるのも楽しい。『菅笠日記』にみえる道筋である。・・・宣長が歩いた飛鳥の道をたどってみると、日頃、見慣れた飛鳥も全く違って見えるのが不思議である。近世の道のなかには中世へ、さらに古代に遡るものもあるから、近世の道をたどることにより、古代の人々が眼にした飛鳥の景観を、現在の我々も見ることが可能となるのだ」
と書くが、本書は、その宣長が歩いた場所をたどる時の、最新のガイドブックとしても大変役に立つ。『菅笠日記』を読むときにもぜひ参考にしたい好書である。

 全246頁。和田萃著。本体価格740円。
 岩波書店・岩波新書。