今回の展示では、「本末の歌」、「萩の歌」、また『古事記伝』草稿本などを新しく出品いたします。
「本末の歌」
「本(もと)と末(すえ)」は、宣長の思想やまた価値判断の中でも重要な概念の一つです。「本末の歌」は、古道の思想に立って世の人の本末の道理を歌ったもので、『直毘霊』と並び、宣長の思想を表明したものといえます。宣長は多くの門人にこの歌を書き与えました。
「萩の歌」
宣長は、古典研究をするものは歌を詠むべきだという主張もしていますが、そのような理屈はともかく、何より「歌が好き」でした。18歳の頃から晩年まで詠み続けて、総数は1万首を超えます。また、歌を書く紙(短冊)にも自分の好みがあり、打曇を使っています。今回は季節の歌として「紅葉」の短冊と、懐紙「萩の歌」を展示しました。
『古事記伝』草稿本
長さが1m80cm位で、色黒く、形はクジラのようでくちばしはサヨリのように上下共に長い。丸みを帯びていて皮が厚く油が多い。ブタに似ている。ヒレがあって足に似ている。尾が分かれていて鱗がない。これが宣長の最初に入手したイルカに関するデータです。書いた宣長も首をかしげる。本当かなあ? イルカとは何か、宣長の探索はここから始まります。今回は、『古事記伝』草稿本、『古事記』に貼り付けられたイルカのレポート、そして『古事記伝』再稿本と疑問解決の過程を追ってみます。
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