宣長流 古典の楽しみ方 <4>   

4,和歌を詠む環境で育つ 

 子どもの頃から本を読むことが大好きだった本居宣長。家は木綿を売る店を経営していました。11歳の時に仕事先の江戸で亡くなったお父さんは仕事一筋だったようですが、お母さんの育ったのは和歌を詠んだりする、そんな家だったようです。親戚には神道学者や、また宣長のおじさんは江戸の増上寺で六代将軍の御霊所を任される立派なお坊さんでした。

 その宣長にとってはおばあさんにあたる元寿さんが来年は八十歳。宝暦5年11月19日、お母さんは京都で勉強している宣長(26歳)に、70歳の時には私たちが祝いの歌を贈ったから、今度はあなたの番です。歌を贈って下さいと書き送ります。

「事多中なから八十ノが御祝候て、一首進しまし被下候、七十ノ節われら一首致し、八十ノかの事祝進し候、又八十八まての事ニ御よみ、一首被成進し被下候」

展示はその時の宣長の「懐紙」〔1ケース〕です。若々しい筆跡です。
とをといひつゝ八かへりの春をむかへていやましに蔭ひろき玉松のかはらぬ
さかへをいはふとなん聞てこの下草の末葉までよろこびにたへずなむ 宣長 

  春たちて やそちにみつの 浜松や さぞなときはの 色もそふらん 
  行末の なをかぎりなき 八十年は やを万世の 数にとらなん

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