展示品解説

◎=国重要文化財 ◇=壁面展示

11,宣長と参宮
56,◎『今井田日記』 1冊
 宣長筆。宣長は悲しくなると無口になる。これは、宣長が19歳から21歳まで養子となっていた今井田家時代の日記。同家は伊勢の紙商で神主や御師も兼ねていた。離縁まで約2年がこの小さなノートで僅か7ページに納まっている。記事の大半は、松坂への里帰りと神宮参拝である。神宮参拝記事が多いのには理由がある。一つは今井田家が御師(オンシ)だったこと、そしてちょうどこの時に20年に一度の遷宮が行われたためであろう。いずれにしても宣長の憂鬱な気持ちが表れているような日記である。
57,◎「伊勢両宮の図」 2枚   
 宣長(20歳頃)記。内宮・外宮の神域を描く。年次推定の根拠は御正殿の位置。この図では、1993年の遷宮で新殿の建った場所と同じなので、49回目か51回目の御遷宮の後となるが、筆跡から49回の御遷宮、伊勢の今井田家に養子となった翌年の20歳の時の図面と考えられる。
58,『鈴屋集』巻5 版本 2冊  
 伊勢の神宮に参詣して境内地、また社殿のすばらしさに感銘して詠んだ歌。
「大神宮にまうでてかけまくもいともかしこきすちは中々に心もおよばざればただかくよめる、
神がらやかくしよろしきさくゝしろ五十鈴の宮は山川のさやけきみや木立のうるはしき宮こがねのかがやく宮の玉垣の八重にもとほるみつ宮の此大みやしあやによろしも」
>>「伊勢神宮」
>>『鈴屋集』
59,◎「土産物覚」 1枚
 宣長記。旅行の土産のリスト。魚町の近所への土産は「草履」と「大へんば」とある。この「大へんば」が現在の伊勢の「へんば餅」かどうかは疑問だが、やはり土産にはお菓子や「わかめ」「めみゝ」などの食物や「ぞうり」「杓子」などの日常品が喜ばれたようである。妹の嫁ぎ先(大口)の土産に「手遊」(おもちゃ)とあるのは宣長の甥や姪たちへの土産だろうか。
「土産品覚、一近所、七軒、ぞうり、大へんば、弐つ、しやくし、一、一与三兵衛、ぞうり、わかめ、一、大へんば、弐つ、一宗善様、めみゝ、弐袋、ぞうり、あめ、十入、山田、一貞雲殿、ぞうり、わかめ、一、へんば、弐、山田、一孫左衛門、ぞうり、わかめ、一、へんば、弐、一大口、まん中、十、手遊、めみゝ、弐袋、ぞうり、一津、めみゝ、弐袋、一けん在所、ぞうり、しゃくし、大へんば、弐、一よし、同、一新蔵、同、一喜八、同、一下喜八、同、一おつね、一わかめ、五包、一めみゝ、六袋、一女ぞうり、八足、一大へんば、十七包、弐つゝ、小同、十、一しゃくし、十三本、一あめ、十入つゝ、弐包、一まん中」
60,『伊勢参宮細見大全』 版本 1冊         【山田文庫】
 版本、伊勢参宮の旅行案内。宝暦13年(1763・真淵と宣長が対面した年)の序があるが、展示本は天保の改正版。地図や道中で気を付けることから始まり、参宮前の国阿詣の由緒、また京都からの宿場の様子も詳しい。挿絵も丁寧で、当時の道中や神宮周辺の様子がよくわかる。名所図会やこのような旅行案内が出てきたのも庶民が旅行できるようになる18世紀ならではのこと。

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