midashi_b 机の下の本

l_b3

「本居宣長四十四歳自画自賛像」机の下の本 これらの本は蔵書である。表紙の題簽の位置を見ると上の2冊は左上に、下3冊が中央にあることに気付く。

「通常の短冊題簽は表紙左肩というのが普通だが、歌書・俳書・絵本・御伽草子等は表紙中央に貼られる場合も多いのは、何がしか我が国の平安朝、中世以来の伝統に根ざした意識のようであり、その他やや趣味的な内容のものに中央貼付のものが多い。」(『書誌学談義江戸の板本』中野三敏著・P155)

 宣長も、その旧蔵書、例えば『源氏装束抄』への題簽貼付けを見ると、この原則を概ね遵守していたようである。従って、積まれた本は、上が歴史や思想書、下は物語や歌書となり、「道」と「歌」という宣長の学問の方向性が明らかにされる。因みに、宣長の著作は原則として左肩題簽であるが、中央題簽のものもある。
 例えば『詞の玉緒』の寛政年間補刻本はその例である。現在は国語学書として評価の定まった本書だが、当時は詠作の手引きとしてみられていたのだろう。儒学者・松崎慊堂の『慊堂日暦』文政8年11月16日条に

   「○詞の玉の尾、紐鏡/本居著。作歌の人必用の書」

とあるが、題簽の位置からもそのことが証せられるのである。



(C) 本居宣長記念館


目 次
もどる