歌集『家』(昭和9年12月31日、竹柏会・心の華叢書)に「松阪」の題で6首載る。
櫛田川のあら砂ここだまかれつとふ境内をゆくに音のさくさく(樹敬寺)
ますらをの真心こめて巨きわざ尊き業を世に残しましき
(原田嘉朝翁歌碑)
春雨の音をきくきくいねがての枕にたどるをさな思出 (松泉閣二首)
雨戸なきはなれ座敷の扇の間ややひえびえし春の雨夜を
この釘にかけたる鈴を折々にひきましけむか尊き大人も
(鈴屋翁旧宅二首)
端座してせばき部屋ぬちに我はありかしこき書ぞここに生れし
「松泉閣」は殿町にあった料理旅館で、梶井基次郎の「城のある町にて」にも登場することで有名。
>> 「明治初年の松阪」
>> 「「松坂」から「松阪」へ」
(C) 本居宣長記念館
|