◇ 『離屋集初編』の刊行 #002

 鈴木朖の文集『離屋(りおく)集初編』が、版本の影印に訳注を附けて刊行された。待望の一書である。
 国語学研究史上において鈴木朖の名前は燦然と輝いているが、宣長の門人としての朖の存在も際やかである。少年の頃から漢学に秀でた朖だが、その学問は凡百の漢学者とある一点で大きく異なっていた。それは本居学の精神を体現していたと言う点であった。
 朖は、宣長を孔子と比較して、「先生の風、頗る仲尼に似る」と評し、宣長もその言を素直に喜んでいる。

 その朖を知る基本文献が、『離屋学訓』と、この『離屋集初編』である。ここには学問的なスタンスを明らかにした「答客問」や交友を知る上でも貴重な文章が集められている。また本書は、「頗る仲尼に似る」という有名な文言の入った「送本居先生序」や、「馭戎慨言序」、「答問録跋」、また「続紀歴朝詔詞解序、代人作」などこれまでないがしろにされてきた文献も入っていて宣長の基本文献でもある。私など漢文に暗い者には訳注が重宝で、これから安心して引用することが出来そうだ。


  『離屋集初編』 鵜飼尚代訳注、尾崎知光補正補筆・鈴木朖学会刊・2010年12月
           名古屋市西区城西3-21-17 離屋会館内 電話 052-522-7472


>> 鈴木朖(スズキ・アキラ)

2011.2.15

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