「詮(せん)ずるところ学問は、ただ年月長く倦ずおこたらずして、はげみつとむるぞ肝要にて、学びやうは、いかやうにてもよかるべく、さのみかゝはるまじきこと也」
本居宣長は『うひ山ぶみ』のなかで、
学問というものは、ただ年月長く飽きることなく怠ることなく
努力することが大事で、方法というのはあまり問題ではない
と言っています。
この『うひ山ぶみ』と言う本は、『古事記伝』を書き終えた宣長(69歳)が、門人のもとめにより執筆した学問の入門書です。学問の領域や方法をていねいに説く、その一言一言には実体験という裏付けがありました。
この「倦まずおこたらずして、はげみつとむ」と言う言葉も、宣長の歩んだ人生そのものでした。
ある哲学者はこの一節を引き、
「宣長の生涯は、一つの長大な意志に貫かれた、
静かな、歩調の乱れない、従って単調なものであった」
と述べました。(和辻哲郎『日本倫理思想史』)
今回の展示では、そのような宣長の人生の軌跡を、特に「持続する関心」と「丹念な作業」いう二つの視点から眺めてみます。
併せて、僅かな時間を見つけては読書したり、また写本に励んだ人々の資料も展示します。
>>『うひ山ぶみ』(原文) |